利益相反について
利益相反について
令和7年9月吉日
■趣旨
がん治療は近年大きく発展を遂げ、ウイルス療法はその革新的なアプローチとして注目を集めています。学術研究の加速と産学連携の推進は、がん治療の更なる進歩に不可欠です。しかし、研究者が学術的・倫理的責任を果たすことで得られる成果の社会への還元(公的利益)に加え、産学連携に伴い研究者個人が金銭・地位・利権といった私的利益を得る可能性があります。
この「公的利益」と「私的利益」が同時に研究者個人の中に生じる状態を「利益相反(conflict of interest: COI)」と呼びます。産学連携を健全に進めるためには、利益相反を適切に管理することが求められます。透明性を確保して公正な手続きを踏むことにより、研究成果の信頼性や社会からの信頼が高まるだけでなく、被験者の安全性も確かなものとすることができます。
日本ウイルス療法学会は、研究成果の発表や社会への普及・啓発を中立かつ公明な立場で推進し、がん研究の健全な進歩に貢献するため、理事・役員を対象とした利益相反事項の届出・開示を制度化いたしました。本制度を通じて、学会活動の透明性を一層高め、社会的信頼の維持と研究倫理の確立を推進してまいります。
■利益相反情報の開示について
一般社団法人日本ウイルス療法学会は、令和7年より、利益相反(Conflict of Interest:COI)に関する方針概要を以下の通り制定いたします。
対象者は、ご自身におけるCOI開示基準1〜9の事項で条件に該当する場合には、所定の様式に従い、COI事項の開示をお願いいたします。
■対象者
本学会の理事役員等
■対象とする活動
学会が関わる全ての事業活動
■開示の基準について
- 企業や営利を目的とした団体(以下、企業等)の役員・顧問職(アドバイザー・コンサルタント等も含む)への就任について、1つの企業等からの報酬額が年間100万円以上の場合は開示する
- エクイティ(株式・新株予約権等)の保有とそこから得られる利益について、1つの企業等についての1年間の株式による利益(配当・売却益の総和)が100万円以上の場合、あるいは当該全株式の5%以上を所有する場合は開示する。新株予約権等については、含み益が100万円以上の場合は開示する
- 企業等からの特許権使用料・譲渡益について、1つの企業等から年間合計100万円以上の場合は開示する
- 企業等から、会議の出席(講演・座長・アドホックな助言等)に対し、研究者を拘束した時間・労力に対して支払われた講演料・謝金等について、1つの企業等から年間合計50万円以上の場合は開示する
- 企業等がパンフレット等の執筆に対して支払った原稿料について、1つの企業等から年間合計50万円以上の場合は開示する
- 企業等および企業等を資金源とした非営利団体が契約に基づいて提供する研究費(受託研究費・共同研究費・治験費等)について、1つの企業および企業等を資金源とした非営利団体から開示者に対して支払われた直接経費の総額が年間200万円以上の場合は開示する
- 企業等が提供する奨学(奨励)寄附金または民間学術助成団体から助成される研究助成金について、1つの企業等または民間学術助成団体から支払われた直接経費で、開示者個人または開示者が所属する部局(講座・分野等)もしくは研究室に対して、開示者が実質的に使途を決定し得る割当額の総額が年間100万円以上の場合は開示する
- 企業等が提供する寄附講座等について、当該寄附講座等に開示者が所属している場合は開示する
- その他の報酬(研究とは直接無関係な旅行・贈答品等)について、1つの企業等から受けた報酬が年間5万円以上の場合は開示する
